プロレスリングFREEDAMS北九州大会『自由“熱男”軍団が北九州にかえってくる!』観戦記(2015.7.19日 門司赤煉瓦プレイス)

FREEDAMSの6年の歴史の中で5年連続開催となる北九州大会。他団体が利益にならないと見限った地域にこそ進出して自分たちだけの聖地を一から作っていこうとしている。

その姿勢は終始一貫していて、今年も中津というプロレス過疎な街で見事に大会を成功させた。いちから需要を掘り起こし、信頼を築いてその地に根づこうとしている。代表である佐々木貴の姿勢は終始一貫しているのだが、それがぶれることなく5年も続いているのだから大したものである。打ち上げで殿自らが「心の提携団体」と何度も口にしていたが、地元であるがむしゃらプロレスをリスペクトし、最大限の協力を惜しまない。

がむしゃらのためなら可能な限り関東近郊とのダブルヘッダーをもいとわない。その姿勢にうたれたのは関係者だけではない。ファンのひとりひとりに同じように接してくれる、その心意気に打たれるから、皆も協力を惜しまない。

こんなあったかい手造り感いっぱいの大会というのはなかなかできそうで、できなかったりする。地方ならではのアットホームだけど、激しくて楽しい。それが年々進化していってるんだから、これは驚くほかない。そしてこの大会が終わるといよいよ夏がやってくる。FREEDAMSが北九州に夏を運んでくれるのだ。
 

◇FREEDOMS×がむしゃらプロレススペシャルオープニング6人タッグマッチ
佐々木貴、●七海健大、陽樹(エビ固め 12分31秒)葛西純、林祥弘○、鉄生
※ダイビングダブルニードロップ

ついにFREEDAMSでもプロアマ混合試合が組まれた。アマといえど道場をもち、リング上で常時練習のできるがむしゃらは技能的にもこうした試合をするに申し分ない。ましてや今回は夏のGAM1に望む優勝候補たちが顔を揃えているのだ。これはユニット対抗というより、GAM1を見据えた前哨戦望む様相を呈していた。

実はFREEDAMSのXはある程度予想していた。林が付けねらうあの選手と、正規軍にとってもでかい壁になりうるあの選手。それは佐々木貴と葛西純!しかしそこまでわかっていながら、やはりテーマ曲が鳴ると、血が滾る感覚があった。

GAM1の前哨戦+プロ選手、それも超一流どころに当たるチャンスはそうそうはない。特に葛西に並々ならぬ思いを抱いている陽樹は、普段なら鉄生一直線になるところが、そうならない。健大も最大のライバルたちより、葛西に目がいっていた。

もちろん林や鉄生にしても佐々木貴とあたること自体が滅多にないだけに、GAM1以前に対佐々木貴という点でいつになく燃えていた。中津とは反対に正規軍にいながら初タッグとなる七海健大と陽樹に対し、レギュラーメンバーに葛西を加えたGWOは連携の面でも上だった。

条件的には五分五分にみえて、実は若干GWO有利なカードではあったのだが、それ以上にチャンピオンになった健大を付けねらう林と鉄生にしてみれば、何とか健大に一矢報いたい気持ちもあったのだろう。1試合目から白熱した試合になった。

結果はGWO林が健大からピンフォール勝ちし、王座挑戦に弾みをつけたが、健大自身の試合内容はかなりよかったし、ベルトを巻いたからか、自信がみなぎる感じがした。だからこそこのタッグで負けたから、王座陥落するにイメージはないといっていいと思う。

◇ミクスド3WAYマッチ
○山下りな、○神田愛実(2人で押さえ込む 分秒)ジ・ウインガー●

ウインガーがでてくると、中津同様ゆるい空気に包まれる。勝ちたい!といいながらなかなか試合は始めないし、はじめたと思ったら、神田を焚きつけて、山下と2対1で闘おうとしたり、とかなり自由。

しかも一緒に闘おうといっておきながら
、あっさり神田を裏切ったり、まさにやりたい放題。

こういうカラーの試合はやはりウインガーでないとできないだろう。神田と山下がやりあっている時は場外で休んでるし、ある意味フリーダムすぎるウインガーからは勝ちへの執念みたいなものはあまり感じられなかった。

かなりゆるい中にもベテランらしい老獪さも兼ね備えているので、途中から山下がかなりイライラしていたのが面白かったが、結果は女子選手がウインガーを抑え込んでウインガーの一人負けになるというもので、納得のいかない山下は試合後、ウインガーを襲撃していた。まあでもこういう感じの試合はなかなか女子では体験できないだろうなあ。気持ちもわかるけど。

◇タッグマッチ
○GENTARO、杉浦透(リングアウト 11分20秒)進祐哉、小川内潤●

前日ギブアップ負けという敗北を喫したGENTAROは左ひじにテーピングをして入場。やはりというか左ひじを狙われる展開が続く。今までだと受けていてもどこか余裕が感じられたGENTAROだったが、この日は結構必死になっていた。

だが、今までだと引っ張ってもらっていた杉浦が大活躍。決して調子がいいとは言えないGENTAROの穴をうまく埋めていた。それにしても進が短期間でここまで成長しているとは驚きだった。本当にとぎすまされた刃のような鋭さをまとっており、今までのFREEDAMSにはいなかった新しいタイプの選手になろうとしている。これは楽しみが大きくなったといえるだろう。

とはいえその進以上に杉浦の勢いもまたすごかった。波に乗る進の前に立ちはだかり、小川内から勝利をもぎとったのは杉浦のサポートあってこそである。

狡猾なGENTAROが場外で熱くなっている相手チームの隙をついて時間ぎりぎりでリングイン!見事なリングアウト勝ちだった。

◇KING of FREEDOM WORLD TAG CHAMPIONSHIP
マンモス佐々木、○神威(エビ固め 11分32秒)阿蘇山、久保希望●
※第6代王者マンモス・神威組、4度目の防衛に成功

急遽中津で因縁が勃発して、メイン同様タイトルマッチになったこの試合。試合を語る前に一つだけ。昨年に続き華☆激のZEBRAレフェリーが全試合裁いていたのだが、彼はなぜかシャツをズボンの外に出してレフェリングをしている。

普段着であるならそれはさして問題ではない。しかしレフェリーというのはルールの番人であり、指揮者でもある。指揮者という言い方はZEBRAレフェリー本人もレフェリー職をそう表現していたから使ってみたのだが、だからこそ言いたい。指揮者がだらしない格好をしていたら、そのオーケストラのパフォーマンスを聞いてみたいだろうか?と。

かつて馬場さんはNWA王者を招聘する際、全員にスーツ着用を義務づけていた。特にファンクスはアマリロの牧場出で、Tシャツジーパンスニーカーという出で立ちでうろうろするので、王者として来日している時は厳しい注文をつけていた。

それは全てNWA王者の権威を守るためであることはいうまでもない。ましてやこの試合は他団体のタイトルマッチである。極端にいうと、出させてもらっている団体の看板を軽んじているとも受け取られかねない。それは華☆激にもFREEDAMSにも利益にはならないだろう。

私もあまり人の服装をとやかく言える方ではないので自戒をこめて指摘させてもらった。

試合はニューコスチュームで出てきた久保と、普段は自分と同サイズの選手とあたる機会がない阿蘇山がやたら燃えていたのが印象的。

それをいなすかのようにマンモスと神威が変化球で対応していたのが面白かった。だてにチャンピオンベルト巻いてないなという感じがした。

師弟コンビの結束は固いはずなのに、相手の神威もマンモスも攻めきれていない。逆に久保がつかまり、勢いを殺される場面も目立った。急遽とはいえ他団体のベルトに挑戦するとこまできた以上、久保もそろそろ善戦マンから脱出してほしいのだが。

試合後握手を求める王者組には小憎らしいくらい余裕を感じた。次回はぜひこの余裕をすっ飛ばしてほしい。

◇ハードコアタッグマッチ
佐々木貴、○正岡大介(ラ・マヒストラル 13分50秒)葛西純、吹本賢児●

やはりダムズの二大巨頭は組んでいるより闘っている方が絵になるなあと思う。北九州初上陸時のメインは葛西と殿のタッグだったけど、それ以降はわかれて闘っている。だがいずれ若い世代が台頭してきたら今度は否が応でも組まざるを得なくなってくるかもしれない。そう考えると結構この顔合わせもあとどれくらいみられるかわからなかくなってきた。

その2トップの牙城を脅かし始めたのが正岡であることはいうまでもない。デスマッチに活路を見出して急成長しただけあって、ハードコアルールでは実に活き活きと闘っていた。

それと中津では結構な罵声を浴びていた吹本も要所要所ではいい仕事をしていた。胴着の帯でひっぱたくというシンプルだけど痛そうな攻撃で、何度も正岡の勢いを殺していた。

ただですら狭い赤煉瓦プレイスの中を縦横無尽に闘いまわるので、逃げ場がなかったりするんだけど、これも醍醐味のひとつといってもいいだろう。ダムズならではの試合だったと思う。デスマッチでなくても、こうした工夫ひとつでいくらでもお客の心をつかむことができるのだからやっぱ大したもんだと思う。

◇KING of FREEDOM WORLD CHAMPIONSHIP
○竹田誠志(エビ固め 16分32秒)藤田ミノル●
※リバースU-クラッシュ 第4代王者竹田誠志、3度目の防衛に成功

前日のごり押しが功を奏して、見事挑戦権とメインの座を奪取した藤田ミノル。相変わらずしたたかで計算高いが、もともと王者竹田が狙うに値する選手だからこそというのはいうまでもない。

大日とかでデスマッチやっているイメージが強い竹田だが、出自はU-FILE CAMPであり、格闘技大会への出場経験もある。下地は十分あるわけで、デスマッチというアイテムがなくても十分対応できる選手なのだ。

他団体の選手でありながら、チャンピオンらしい風格と試合運びはさすが竹田だなと思わせるものがあった。こういうときの藤田ミノルは一切容赦はしない。こっちも本気でベルトをとりにいっているのがわかる。

チキンウイングアームロックを繰り出すチャンピオンに対して執拗な足殺しに出る挑戦者。実に見ごたえのある一戦だった。まさにメインにふさわしい重厚な試合だった。しかし執拗さということでいうならこの日の竹田は、藤田以上に徹底していたと思う。

すでに次回防衛戦が決まってる段階で、藤田の横槍を認めてしまった以上、ここで負けたら次回の大会参戦も藤田に乗っ取られてしてしまう。そこはなんとしてでも避けたかったんだろう。結局、後半藤田が失速したというか、「サヨナラ」が決め手にならなかったのは、この腕殺しがきいていたからだろう。

試合後、藤田を称える竹田に対して寝たままマイクアピールをする藤田。大概、どんなことがあっても立ってアピールする選手だけにここまで死力を振り絞ったのか…と思わずにはいられない壮絶な戦いだった。

次回防衛して必ず再戦したいと竹田が言うと、これに藤田も呼応。これは次回ノンタイトルでもいいので、もう一回再戦が見たい。いや、やっぱ来年まで竹田に防衛してもらって北九州でこの顔合わせをみたい!普通だと「ベルトを防衛してまたここに帰ってきます!」というのはリップサービスになりがちで、お客もそれほど真剣に受け止めてはいないのだが、このカードに関してはぜひともほかの地でではなく、北九州で実現してほしい。そう思えるだけのカードだった。

終わってみたら全試合はずれなしの素晴らしい大会だった。だんだんレベルアップしてるのもすごいし、門司赤煉瓦を、北九州を本気で聖地にしようという熱意がここまでの大会を作り上げたのだと思う。お客と選手の良好な関係が築いた大会という点では昨年をも超えた大会になった。本当にプロレス僻地にこうして根付こうとしてくれる姿勢はうれしい限りである。今度は年一回だけでなく、ぜひ二回。三回と来てほしい。そうなれるよう我々も応援していきたい。